スキーマ療法を自分で試してみる 第1回

自分でできるスキーマ療法ワークブック Book 1
伊藤 絵美(著)

一日目、そもそも……

なぜまともに生きられないのか

毎日働いて、収入の範囲で衣食住を整え、休みや自由になる時間は趣味に熱中する。

二ヶ月に一回くらい友人と会って食事をする。

こういう生活が理想だ。

だが現実は、数年働いてはその貯金でしばらく休み、また働いては休みという生活を繰り返している。ちなみに今は多少働いているものの休みの期間。

人とは違う生き方だけど、何も悪いとは思っていなかった。

けれど、歳を重ねるにつれ、しんどさが増してきた。こういう生き方を選んだのではなく、こういう生き方しかできなかったからだという事実に気づいたからだ。

ずっと毎日働けないことを認めるのはつらかった。自分がまともに生きられないということを認めることだから。他の人が働いていなくても別に何とも思わないし、まともに生きていないとは思わないから、まともという言葉は正しくないかもしれない。まともではなく、「自分がこうありたい」と思う理想という方がより近い。

そういうわけだからお金はあったりなかったりする。生活レベルのアップダウンが激しい。

自分にできないことを望むというのは苦しい。

けれど、死ぬまで自分を放棄することはできない。

そんなとき、死んでしまった友人のことがちらつく。

私は自ら死ぬつもりはないな。その覚悟もない。と確認する。

ならば、何とか自分を生かせていかなければならない。

医者にかかるほどでもない

遺伝的に神経質な性質という自覚はあるものの、病名がつくほどでもない。

たぶん、医者にかかれば薬をくれるだろうけど、性質的なところが大きいので治るようなものでもない。

カウンセラーに話を聞いてもらうのがいいのかもしれないが、まともに働けないのでお金に余裕はなく、毎回一万円を何年にもわたって払い続けることはできない。逆に言えば、それほど差し迫っていないとも言える。ものすごくしんどい人なら、一万円払っても話を聞いてもらわなければならないだろう。

薬も医者もカウンセリングもなしで、このしんどさを何とか改善させて楽しく生きていく方法を探したい。

セルフリハビリテーション

このままではいけない、という思いからいろいろ調べて試してみた物の中で期待できそうだったのが瞑想だった。瞑想というとどうしても禅宗の座禅を思い出しがちだが、瞑想から宗教色を取り去って、一般にも導入しやすい形にしたのがマインドフルネスである。Googleを含む有名企業が生産性を上げることを目的として導入している。NHKでも特集されたことがあるので一般的にも知名度があるかもしれない。

(※個人的にはストレス軽減法というとらえ方をしている)

いきなりマインドフルネス、瞑想と言われても取っつきにくく不信感を覚えるという方は、元Googleの技術者でGoogleにマインドフルネスプログラムを導入したチャディー・メン・タンの本をおすすめする。

科学的根拠や事例を多数交えて実践的な方法を教えてくれている。

サーチ・インサイド・ユアセルフ――仕事と人生を飛躍させるグーグルのマインドフルネス実践法

チャディー・メン・タン (著)

前置きが長くなったけれど、性質的なものが原因なら、その性質を変えてしまわなければならない。個人の性質(こころの動き方)というのは、つまり、脳がどういう風に働くかということにほかならない。以前は、大人の脳は成長しないと思われていたが、さまざまな実験や研究によって脳には可塑性(変化する力)があることがわかっている。

ならば、脳を変えればこのしんどさを解消することも可能なのではないか。

これを自分で行うことをセルフリハビリテーションと表現した。(悪い言い方をすれば洗脳であるが、人はもともと何らかの洗脳状態であり、そうでなければ生きていけないものと思っているので、よい洗脳状態になるならいいんじゃないか、と思っている。)

冒頭の本は、そんな方法を探す中で出会った。

著者には他にも

などの本がある。マインドフルネスについても説明があるので、両方知りたい方にはこちらがおすすめ。

 

一日目はワークを1つやった

ワーク1-1をやった。書くことがあるだろうかと思ったが、意外にも枠が埋まった。そのときに浮かんだ考えなども枠外に書き留めてみた。

著者は一冊一年かけるくらいじっくり取り組んで欲しいと書いているので、とりあえず少しだけ、できるだけ毎日続けていきたい。